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太陽と月の神話169 : オバタラ、太陽を創る(ヨルバ族) [太陽と月の神話]

こんにちは。太陽の魔女マリィ・プリマヴェラです。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回は西アフリカ・ナイジェリアに住むヨルバ族に伝わる太陽創造の神話です。

この世界の最高の神であり、天地を作り出したオロドゥマレには
オバタラという息子がいました。
父神オロドゥマレに先んじて地上に降り立ったオバタラは
地上世界に光が必要だということに気づきました。
そこで倒れた木を金の塊に変え、
天の鍛冶職人に命令して、金の壺と金の船を作らせました。
そして、この壺を持った奴隷を船に乗せ、
東の空から天高くのぼり、西の空へと降りるようにと命じたのです。
こうして太陽の運行が始まったのだとか。


参考:「世界の神話」マイケル・ジョーダン(青土社)
    「太陽と月の伝説」森村宗冬(新紀元社)


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太陽と月の神話 第168 回 太陽と月の娘、または七つの星の誕生 [太陽と月の神話]

月の魔女・小泉茉莉花です。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回はスウェーデンに伝わる月と太陽にまつわるお話です。


天にすむ太陽と月には星のように美しい娘がいました。
娘は天の素晴らしさをみてしまうと地上の様子がみたいと思うようになりました。
地上に降りることを何度も願い、
地上の子どもには気をつけるように両親にいわれて、
娘はようやく許しをもらいました。

娘は喜んで地上に降りていき、貧しい老婆の家にやってきました。
老婆は娘の美しさに心を奪われ、宮廷にいって娘のことを話しました。
その間、娘はひとりで老婆の家の糸紡ぎをしていました。
娘の手にかかると糸は純金になりました。
人々は娘を一目見ようと老婆の家に急ぎます。
母親である太陽が娘に迫った危険を知って、窓から暖かい光を投げかけたので、
娘は地上の事をすっかり忘れて天に昇って行きました。
宮廷の人と老婆が家についたときは、老婆の古ぼけた糸車に
黄金の糸が残っているだけでした。

しばらくすると太陽と月の娘はまた地上に降りたくてたまらなくなりました。
地上の子どもに気をつけることを約束して娘はふたたび地上に降りて行きました。
娘がまたあの貧しい老婆の家にいくと、老婆はなおいっそう娘の美しさに心を奪われました。
老婆は娘があらわれたら知らせることになっていたので急いで宮廷に行きました。
人々が駆け付けるのをみた太陽は熱い光で娘の里ごころをよびさまし、
娘は天にいる両親のもとに戻って行きました。
後に残されたのは、糸車の黄金の糸だけでした。

太陽と月の娘はしばらくするとますます地上が恋しくなりました。
何度も頼んでいつものように地上の子どもに気をつけるようにいわれて、ようやく娘は許しをもらいます。
地上におりると娘はみたび老婆の家にいきました。
老婆は娘の美しさに心を奪われ、娘がやってきたことをすぐに宮廷に伝えに行きました。
老婆はたっぷりの報酬を約束されていたのです。
人々がかけつけたときには、娘はまだ老婆の家で糸をつむいでいました。
糸はすべて黄金になっていました。
誰もがこの世のものとは思えない娘の美しさに驚きました。

ひとりの若くりりしい廷臣が熱い心で娘に近付きました。
母である太陽は娘をとかすほどに窓から照りつけましたが、
娘は母の警告も、天の事も忘れ、地上の子の思いを受け入れました。
しかし、誰ひとり、娘の両親のことを聞きだすことはできませんでした。

娘は地上で夫とともに幸せな日々をすごしました。
夫は娘を心から愛し、娘は六人の子供に恵まれました。
娘は地上の言葉を話すことはなく、沈黙したままでした。
夫がどれほど頼んでも、娘の素性を知ることはできませんでした。
娘の素性を知るために占い師が花壇を美しい花々で飾り、
花の陰に隠れて様子をうかがっていると、
花園を散歩していた太陽と月の娘は、数ある花の中からいちばん美しい花を選び、
「私は太陽と月の娘、この花を天にほしいわ!」
娘の秘密を知った人々はとても喜びました。

それから長い時間が流れ、
ある晩、太陽と月の娘が六人の可愛い子供と草原を歩いていました。
父である月がこうこうと輝いていました。
娘はたまらなく、天が恋しくなりました。
娘はひざまずいて心からお願いをしました。
「お父さま、私と子供たちを天にいかせてください。
私は天の星となりたいのです!」

父は娘の願いを聞き入れて、娘を許し、娘と子供たちを天にひきあげました。
天で娘も子供たちも太陽と月のそばにいて七つの星となって永遠に輝いています。


参考文献 世界の太陽と月と星の民話 外国民話研究会 三弥井書店

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太陽と月の神話 第167回 天の犬が魔法の草を追う [太陽と月の神話]

月の魔女・小泉茉莉花です。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回は中国に伝わる月と太陽にまつわるお話です。

昔、ある夫婦が仲良く暮らしていました。
でも、夫が皮膚病にかかり全身が、かさぶたに覆われると、村人は男をばかにし、
妻までも世話を嫌がるようになりました。

このことで、男はたいへん苦しみましたが、村にいてもつらいので山に隠れることにしました。
男は山に入って、皮膚病を治すために、薬草を探して、山中を歩きまわりましたが、
どんな薬草を試しても、効き目は現われませんでした。
それで、蛇の肉が皮膚病に効くときいてからは蛇を捕まえて食べていました。

ある時、男は竹林で一匹の蛇を捕まえて、輪切りにして土鍋にいれて、薪をとりにでかけました。
帰ってきて、火をくべようとしたら、しゅっと音がして、一匹の蛇が一本の草をくわえて、
小屋に入ってきました。

蛇は頭をあげて、土鍋の周りをぐるっと回ると尻尾で鍋をひっくり返しました。
蛇の肉が転がりでるとくわえてきた草でひとつひとつこすって、つなげていきました。
それから三声なくと、死んだ蛇が生き返りました。
二匹の蛇は並んで竹林に消えて行きました。

二匹の蛇が去った後、男はこんなにすごい力がある草は魔法の草に違いないと思いました。
死んだ蛇を生き返らせることができるなら、自分のこの皮膚も治るに違いない。

蛇が残していった草を拾って、体にこすりつけました。
こすったところはたちまち元のきれいな皮膚になりました。
全身すっかりきれいになると、男は荷物を片付けて喜びいさんで家路につきました。

途中、死にかけたカササギを魔法の草で助けたり、家で飼っていた黒犬が道端で
撃ち殺されていたのを生き返らせて、一緒に家に帰りました。
村人も男の皮膚がすっかりきれいになったのをみて、また親しくつきあうようになり、
妻も夫を大事にしました。
男は山からとってきたさまざまな薬草とこの魔法の草でたくさんの人の命を救い、
薬草医者として名をはせました。

男は魔法の草を大事にしていて、使い終わるとすぐに箱にしまって、妻にも
ふれさせませんでした。

ある日、村で重病人がでて、その息子がよびにきたが、男が留守だったので
妻は親切心から魔法の草がしまってある箱をとりだしました。

妻はあわてて歩きながら、箱をあけましたが、庭にでたとき、うっかり転んで箱を落とし、転んで
魔法の草が放り出されました。
草はたちまち太陽に奪われました。
太陽は手にいれた魔法の草を月にも貸しました。

太陽と月は二度と病気にかからなくなり、以前にもまして明るくなりました。

男は魔法の草が奪われたと知り、妻を怒り、犬と一緒に取り戻しにでかけます。
男は庭に百節参天樹という木を植えて、妻に毎晩、泉の水をかけるように言いつけました。

この木はまっすぐ天にむけて伸びていきました。
男はしっかり木に抱きつきました。
木はどんどんのびて家も山もはるか下にみえるようになりました。

木はまっすぐ雲の中に入って、天宮に近づきました。
とうとう連れていった犬がまちきれなくなって、上に飛び乗って、天宮につきました。
男はまだあがれず木にしがみついていました。

妻は夫のいいつけどおり、毎日毎晩、泉の水をやってきました。
妻は木がどんどん成長して、雲の中にはいってみえなくなったので、
夫はもう天宮についたと思い、泉の水ではなく、米のとき汁を木にかけるようになりました。

このため根っこが腐り、木が倒れました。
夫は空からふりおとされ、落ちてぐちゃぐちゃになりました。

黒犬は主人が空からおちるのをみて驚き、主人を救おうと太陽にかみつき、月にかみついて
魔法の草をとりかえそうとしました。

以来、この犬を「天狗の犬(天の犬)」とよぶようになり、
天の犬が太陽をかじるのを日食、月をかじるのを月食とよびます。

太陽と月は犬にえさをやってご機嫌をとって眠らせます。
こうして数年は静かに暮らしますが、犬は主人思いなので優しかった主人を
いつまでも忘れず、目をさまずたびに太陽と月をおいかけてかじっては
魔法の草をとりかえそうとしています。


参考文献 世界の太陽と月と星の民話 外国民話研究会 三弥井書店

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太陽と月の神話 166  太陽神ヘリオスの息子パエトン [太陽と月の神話]

こんにちは。太陽の魔女マリィ・プリマヴェラです。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回はギリシア神話に登場する太陽神ヘリオスの息子パエトンのお話です。

パエトンは、太陽神ヘリオスと、その恋人クリュメネとの間に生まれた子供です。
クリュメネは、エチオピア王妃。
彼女にひと目惚れしたヘリオスが強引に思いを遂げたことによって
生を受けた男の子でした。

エチオピアの王子として育った少年パエトンは、
ある日、自らの出生の秘密を知ると、
太陽の子であることに大喜びし、
勇んで実父であるヘリオスに会いに行きました。

ヘリオスは、はるばる訪ねてきたパエトンを自分の子だと認め、歓迎しました。
そしてパエトンの願いを聞いてやることにしたのです。
その願いとは、太陽神ヘリオスが父であることの証として、
太陽の馬車の乗り、天空を旅したい、というもの。
太陽馬車は、大神ゼウスですら不可能なほど操縦が難しく、
少年であるパエトンになど任せられるわけがありません。
しかし説得に疲れ果てたヘリオスは、1日だけという条件で
息子の願いを聞き入れてしまったのです。

4頭立ての太陽馬車は、パエトンを乗せて天空へと躍りだします。
と、巨大なクマ、大蛇など星座となった怪物たちが現れ、
パエトンを驚愕させます。
それと同時に、4頭の馬たちも恐怖で暴れだしました。
パエトンには太陽馬車を操る技術もなければ、
暴れる馬を制御するだけの力もありません。
正しい太陽の軌道を外れた馬車は、東西南北と好き勝手に走り出し、
ときには地上すれすれまで降りてきます。
そのため地上は大変な暑さとなり、大地は焼け、水は干上がり、
作物は全滅。
パエトンの故郷であるエチオピアに至っては、人々の肌が真っ黒に焦げてしまうほど。

このありさまに、このままでは世界が滅びてしまうと案じた大神ゼウスは
太陽馬車に向かってカミナリを使わしました。
カミナリに打たれたパエトンは、即死。
地上へと落下していったのです…。

太陽神ヘリオスは、息子の死を嘆き悲しみ、
全ての責任は、能力もない息子に太陽馬車を任せた自分にあると自らを悔い、
太陽神としての仕事を放棄してしまいました。
すると世界は真っ暗闇に包まれ、人々はもちろん、神々も困り果てることに。

しかし神々とゼウスとの懸命の説得と叱責により
ヘルメスは、息子の死を乗り越え、元の職務、つまり太陽馬車の運行に戻ったのです。
こうして再び地上には昼が戻ったということです。


参考:「太陽と月の伝説」森村宗冬著(新紀元社)




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太陽と月の神話 165  太陽神マルドュク(バビロニア) [太陽と月の神話]

こんにちは。太陽の魔女マリィ・プリマヴェラです。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回はバビロニア神話に登場する太陽神の神話です。

バビロニアの太陽神マルドュクは、直接太陽とはかかわりを持ちません。
しかし、その名前マルドュクはは「太陽のオスの子牛」という意味を持ち、
そして「太陽神」と呼ばれています。
それはマルドュクが最高神の地位にあるから。

バビロニアの神々は、
真水をつかさどるアプスーを父、塩水を司るティアマを母として、
生み出されました。
しかし誕生した神々はとても騒がしかったため、
アプスーとティアマトは大変、不快に思いました。
そこでアプスーは彼らを滅ぼそうと企てたのですが
それを悟った孫エアは、魔法でアプスーを眠らせて殺し、
アプスーの体の上に自分が住む神殿を立てました。
この神殿で、エアの息子として、太陽神マルドゥクが生まれたのです。

マルドゥクは風と戯れて育っていきます。
ところが、そのせいで曾祖母ティアマトの塩水の体はかき乱され、
ティアマトの中に住む神々は眠ることができなくなってしまいました。
ティアマトは、マルドゥクへの腹立ちとともに、亡き夫アプスーの復讐心が沸き上がり
エアとその息子マルドゥクに戦いを挑んだのです。

しかしティアマト軍の奮闘もむなしく、
マルドゥク軍が勝利をおさめ、マルドゥクは新たな世界の創造主となりました。

マルドュクは世界法則を制定し、更なる世界の創造を進め、
敵の血から人間を創り出したのです。
こうした働きによって、神々は労働から解放され肩の荷を下ろることができました。
その喜びから、神々は、マルドゥクを最高神とし、
権威ある神としてあがめるようになりました。
マルドュクを50もの名前で呼び、その名の多さで彼を讃えたのです。


参考:「世界神話辞典」アーサー・コッテル(柏書房)





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太陽と月の神話 第164回  月の兎 [太陽と月の神話]

月の魔女・小泉茉莉花です。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回はロシアに伝わる月と太陽にまつわるお話です。

昔、中の国にどんなことでもやってのける器用なおじいさんがいました。
人間でも、獣でも、助けを求めてきた者には手を貸していました。

おじいさんは、大変腕がよく、獣の爪やひづめを取り替えてやったり、
人間の歯をなおしてたりしていました。

あるとき、兎がオオヤマネコの娘と結婚しようと考えました。
これまでオオヤマネコと兎は仲が悪かったので兎たちはこれでいさかいがなくなると
慶びました。

花婿になる兎はオオヤマネコの一族全員に贈りものをしようと考え、
おじいさんに手伝いを頼みました。
おじいさんは女たちには鍋を、男たちにはナイフ、なぎなた、金棒、槍など
ありとあらゆるものを作りました。
ところが、兎は自分の花嫁に贈る指輪のサイズを知らなかったのでおじいさんに
手伝ってもらっていろんな大きさの婚約指輪を作っては花嫁に届けました。
ところが、どれも花嫁の指には合わなかったのです。

オオヤマネコの娘は花婿から届く指輪を獣たちに分け与えました。
トナカイにもヘラジカにもネズミにもあげました。
だから獣たちは脚につけているもの、額につけているものなど
体のどこかに白い指輪をつけています。

おじいさんと兎は湖の岸辺で指輪を作り続けましたが、花嫁の指にぴったりの
ものはできませんでした。

そんなある晩、兎たちは花嫁になるはずのオオヤマネコの娘がクズリ(イタチ科の動物)の
若者と結婚するという知らせを聞きつけて、みんなでシャマンの術を始めました。

おじいさんと兎が中の国から月に着くまでみんなで術をしました。
月におじいさんと兎の影がみえるのはそういうわけです。

いまだにオオヤマネコと兎は仲が悪くて、オオヤマネコは兎を捕ります。

参考文献 世界の太陽と月と星の民話 外国民話研究会 三弥井書店

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太陽と月の神話 162  肌が黒くなったわけ(アフリカ・ヤオ族) [太陽と月の神話]

こんにちは。太陽の魔女マリィ・プリマヴェラです。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回はアフリカのヤオ族に伝わる太陽にまつわるお話です。

ヤオ族は、アフリカ大陸のモザンビーク北部、タンザニア南部、
それにマラウィに住んでいます。
彼らの肌が黒い理由が、以下のような神話として伝えられています。

遠い遠い昔のこと。
創造神ムルングが太陽と月と星をつくり、
さらに天地を生み出しました。
山や海、川、動物、植物などが生まれ、
最後には人間を創造したのです。

そのうちに太陽は、創造神ムルングに激しいライバル意識を持つようになり
すさまじい熱と光とで地面を照らし出しました。
大地はカラカラに乾き、水も枯れ果て、
そのすさまじい熱気と暑さに、人々はバタバタと死んでいきました…。

死者の魂たちは、創造神ムルングに
「人間が全滅する前に、どうか雨を降らせてください」と懇願しました。
ムルングはその訴えにこたえ、
天の大水瓶をひっくり返して、雨を降らせてくれました。
その大雨により、人間は生き延びることができたのですが、
太陽の熱に焼かれたため、肌が焼け焦げ、黒くなったということです。


参考:『太陽と月の伝説』森村宗冬(新紀元社)




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太陽と月の神話 第163回  月の中のモクセイの木  [太陽と月の神話]

月の魔女・小泉茉莉花です。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回は中国に伝わる月と太陽にまつわるお話です。

昔、山奥に、母親と娘2人の一家3人が住んでいました。
母親は家でブタを世話し、娘二人は山のそば畑で雀の番をしていました。

ソバ畑の向かいの竹林には人食いの化け物が住んでいました。
娘二人が鳥追いの声をかけていると、化け物は老婆にばけて、二人の呼び声をまねました。
二人はこわくなって家に駆けって戻りました。

翌日は母親が鳥追いにでかけると、化け物はまた老婆に化けて、鳥追いの声を真似ます。
母親が起こると化け物は泣きながら、
「頭のシラミがかゆくてたまらないけど、自分では見えないし、捕まえられない。
雀を追うからシラミのとりあいをしよう」と言いました。
でも、化け物は母親のシラミを二つつかまえたところで、頭を割って、脳みそを食べて、
たちまち元の姿になって、母親を食べてしまいました。

さらに、化け物は母親を迎えにくる娘二人を待ち伏せしてこう言いました。
「母さんは山のむこうの粉ひき場にトウモロコシを焼きにいって帰れないから、
今晩は私のところに泊まってといってたよ」と。

そして、二人をひっぱって洞窟の家に連れていくと、火をおこすように言いつけて、
妹にはアメをやって寝にいかせました。
「何を食べているの?私にも少しわけて」と姉が妹に声をかけると
「妹はもう寝たよ。私はトウモロコシの粉を食べているんだ」と化け物が答えます。
妹が戸のすきまからのぞくと、髪をふりみだした化け物が妹の足をかじっていました。

姉は縫い針を戸に一本、壁に一本さすといいました。
「縫い針、縫い針、代わりに返事をしておくれ」
姉はすぐに家に向かって逃げ出しました。

化け物は今度は姉を食べようと「どこにいるんだい」と叫ぶと、
戸が「ここだよ」と答えました。
化け物が戸のところに行くと誰もいません。
もう一度呼ぶと、今度は壁が「ここよ」と返事をします。
戸と壁を行ったり、来たりして、化け物はすっかり混乱してしまいました。
声のする方をたたいたら、針が手にささって、ようやく引っかかったことに気がつきました。

おいかけてきた化け物にたちまち、おいつかれそうになったので、モクセイの木に隠れました。
そのとき、月がでてあたりを明るく照らしました。
姉は、「月のおばあさん、化け物に食べられてしまう。助けてください」とお願いしました。

月は銀の鎖をたらして、鎖をモクセイの木に結ばせると、ゆっくり木とともに姉を
月宮に引っ張り上げました。
十五夜の夜に月を見たら、今でもモクセイの木の影がみえます。

姉が天にのぼっていくとき、地上に影が映りました。
化け物はそれをみあげて「どこにいく!」と叫びました。
「月のおばあさんのところに遊びにいくの。後であなたも迎えにいくわ」

姉と月のおばあさんはわら縄をおろしました。
化け物が縄をつたって、半分ほどのぼったところで姉は鎌で縄を切りました。
化け物は墜落しました。方解石は化け物の骨の破片だそうです。



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太陽と月の神話 第161回  月に行った少年クオイ [太陽と月の神話]

月の魔女・小泉茉莉花です。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回はベトナムに伝わる月と太陽にまつわるお話です。

昔々、クオイという優しくて、困っている人をみると手をさしのべずにはいられない少年がいました。

クオイは森に木を切りにいく途中、虎のねぐらをみつけました。
虎は、小さくても危険な動物、村人を襲うかもしれないと思い、クオイは持っていたオノで
虎の首をはねてしまいました。

そのとき母虎が戻ってきたのでクオイは高い木に昇って様子をみていました。

母虎は悲しみでしばらく泣き続けていましたが、小さな木に近づき、葉をむしりとって、
子供たちの口の中にいれました。

すると、子供たちが生き返ったのです。それをみていたクオイはその木を家に持って帰りました。

途中老人が倒れていたので、クオイはこの木をためしてみることにします。

老人は生き返り、
「これは死者を生き返らせる命の木だ。毎日きれいな水をやって、大事にそだてなくてはいけない。」
と言いました。

クオイは毎日きれいな水をやって、木を大きく育て、魔法の木で人々の命を救いました。
クオイは犬を助けて、仲良くなったり、女性を助けて、その親から感謝されて、彼女を嫁にしたりしました。

でも、それをねたんだ悪者が、クオイの妻を殺し、生き返らないようにはらわたを川に投げ捨てて
しまいました。

クオイは悲しんで、あれこれ手を尽くしましたが、妻は生き返りません。
そんなクオイをみて、犬がいいました。
「私を殺して、はらわたを奥さんにいれてください」と。

妻を生き返り、犬も土をこねたはらわたをいれて、生き返らせました。

生き返ったクオイの妻は忘れっぽくなっていました。
そして、魔法の木にきれいな水をやるのを忘れて、汚い水をやってしまいました。
魔法の木はその途端、空へと飛びあがってのぼっていきます。
クオイはあわてて、根っこをつかみましたが、間に合いません。
クオイごと月まで飛んでいってしまい、永遠に月に住むことになってしまいました。

今でも、月をみあげると木の根元に座っているクオイがみえます。

参考文献  アジアの星物語  海部宣男監修 万葉舎



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太陽と月の神話 160   太陽、秘密を暴く(ドイツ) [太陽と月の神話]

こんにちは。太陽の魔女マリィ・プリマヴェラです。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回はドイツに伝わる太陽にまつわるお話です。

その昔、ドイツのある町に、
人々からの尊敬を集めている仕立屋がいました。
彼は愛する妻と、それはそれは幸せに、
そして裕福に暮らしていました。

しかし仕立屋には秘密があったのです。
かつて盗みを働こうとして、ひとりのユダヤ人を叩き殺したのです。
そのユダヤ人は「お前の秘密はいつか太陽にばらされるぞ…」、
そう言って死んでいきました。

何年も前の出来事ですから、
町には事件のことを覚えている人などひとりもいなかったし、
仕立屋自身もすっかり忘れていました。

ところがある日曜日の朝のこと。
仕立屋がベッドで朝寝をしていると
太陽の光が差し込んできました。
すると仕立屋はなぜか笑いがこみ上げてきて、
大きな声で笑い続けました。
妻は何故笑うのかがわからず、しつこく理由を聞き続けたところ、
仕立屋はこう答えたのです、
「俺は何年も前にひとりのユダヤ人を殺したんだがね、
そのユダヤ人が死に際に、いつか太陽に秘密を暴かれると言ったんだよ。
でもさ、太陽がしゃべるわけがないだろう?
だから秘密なんか、ばれっこない!
それを思い出してね、おかしくてたまらないんだよ」。

夫が人殺しだと知った妻は、もはや愛が消え失せ、
恐ろしさを募らせます。
夫とともに生活することもできなくなりました。
そして、とうとう裁判官に全てを訴えたのです。
裁判にかけられた仕立屋は自分の罪を認め、首切りの刑に…。
処刑されるとき、仕立屋は言ったそうです、
「俺の秘密は太陽に暴かれた!」と。


参考:『太陽と月と星の民話』三弥井書店



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